リフォームや引っ越しで、床を畳からフローリングに変更するということがあると思います。その際にどんな床材を選んだらいいのか、工事にかかる日数や費用はどれくらいなのかなど、フローリング工事についての情報をお届けします。また、畳と比較した際のフローリングのメリット・デメリット、傷や汚れへの耐久性や、フローリングの強化方法などについても説明していきます。
フローリングの基礎知識
フローリングには、「単層」と「複合」という2種類の床材があります。最近は薄いシートタイプのフローリングも販売されていますが、主流となっているのが単層フローリングと複合フローリングです。まずはそれぞれの特徴について見ていきましょう。床材を選ぶ際、参考にすることができます。
単層フローリング
無垢材とも呼ばれている単層フローリングは、一枚の板でできた床材です。断面を見るとその様子がはっきりとわかります。表面にはそのまま木目が現れているため、風合いが良いのが特徴です。また、一枚板なので、木の特性を活かした調湿作用に優れています。ヒノキやかばなど、使われている木材によって雰囲気が変わりますし、足元から木の質感を楽しむこともできます。
複合フローリング
比較的安価で一定の品質を確保しやすいため、複合フローリングは一般的に広く使われています。断面を見ると、いくつかの層になっているのが特徴です。基盤となるベニアや合板が数枚重ねられ、表面となる部分に見た目の良い化粧木材が貼られています。また、複合フローリングは幅広いデザインが取り揃えられているため、好みのものを探しやすいという嬉しい部分もあります。壁の色や部屋の雰囲気に合わせたい場合は、複合フローリングがおすすめです。
フローリング施工にかかる期間や費用
畳からフローリングへ張り替える際、特に気になるのが仕上がりまでの期間や施工にかかる費用です。素材や施工方法によって多少価格は変化しますが、こちらでだいたいの相場を抑えておきましょう。8畳の和室で例えて計算します。
畳からフローリングに変更する際の施工期間
和室をフローリングに変更する場合、約2~3日の施工期間が必要になります。なぜ1日で作業が終わらないのかというと、フローリングを貼り付ける他に、たくさんの作業を行なう必要があるからです。畳の撤去作業や床下掃除、フローリングの基盤づくりなどの作業があります。余裕を持って、3日はかかると想定しておきましょう。
施工にかかる費用
施工にかかる平均的な費用は15万円~20万円程度です。細かい費用を説明すると、畳の撤去費用が約2万円、床貼り作業が約10万円、現場の管理費などの雑費が約8万円です。高級な床材使った場合は、更に価格がアップします。業者によっても金額が異なるので、事前に比較することが大切です。また、和室を完全に洋風に変更する場合は、壁や天井、電気やドアなど、フローリング以外にも施工が必要なので、トータルの費用が70万円に及ぶ場合もあります。
フローリングのメリット・デメリット
畳からフローリングに変更した際、実際に得られるメリット・デメリットについて説明します。両方を考慮し、フローリングへのリフォームを検討してみてください。
フローリングに変更するメリット
メリット1.木独特の温かみがある
フローリングの一番のメリットは、自然の温かみを感じられるという点です。冒頭でご紹介した単層フローリングなら、綺麗な木目も残っているため、木の持つ風合いをより感じることができます。また、木の種類によって床の色を暗くしたり、明るくしたりすることも可能です。ウォールナットやオークなど、種類によって異なる質感も楽しむことができるので、フローリングを選ぶ際は、木の種類にも着目してみてください。
メリット2.きれいな状態を保ちやすい
畳の場合、隙間にホコリや汚れが挟まりやすく、掃除がしづらい場合がありますが、フローリングではそのようなことがありません。繊維の隙間に汚れが入り込んでしまうというようなこともないので、掃除がしやすく、常に綺麗な状態を保つことができます。食べ物や飲み物をこぼしてしまっても、すぐに拭き取ることができるため、片付ける手間が必要ないのです。
メリット3.ダニの発生率が下がる
ダニは人間の皮脂や食べかすなどを好むため、畳の隙間に入ったそれらをめがけて集まります。つまり畳は、ダニにとって心地よい住処になってしまうということです。ダニはアレルギーの原因にもなってしまうため、発生源である皮脂や食べかすはきちんと掃除しなくてはいけません。その掃除もフローリングなら簡単にできるため、ダニの発生率を下げることができるのです。
メリット4.メンテナンスが少ない
フローリングは、畳のような裏返し作業や表替え作業が必要ありません。重たい家具をズルズルと引きずらない限り、大きな傷が付くことはないので、メンテナンスも頻繁に行なわなくてよいのです。ピカピカの状態を保ちたいなら、年に1回のワックスがけを行なうというメンテナンスが必要ですが、あとは普段の掃き掃除のみで手入れを済ませることができます。
フローリングに変更するデメリット
デメリット1. 防音効果が落ちる
フローリングは畳と比べた場合、どうしても防音効果が落ちてしまいます。畳は内部に空気を含んでいるため、足音が響きにくいというメリットがありますが、フローリングは空気を含んでいるわけではないので、歩くと音が鳴るのです。2階の畳間をフローリングに変更する際は、下の階に音が響いてしまう可能性があることも考慮しなければなりません。
デメリット2.冬場に冷たい
夏場は裸足で気持ちよく過ごせるフローリングですが、冬になるととても冷たく感じてしまいます。そのまま裸足で歩くと足が冷えてしまうので、スリッパを履いて過ごさなくてはいけないというのが欠点です。床暖房が入っていれば問題はありませんが、そうでない場合は畳の時よりも冷えを気にする必要が出てきます。
デメリット3. 水に弱い
畳と同じように、フローリングも水に弱いという点が目立ちます。水をこぼしたり水拭き掃除を行なったりすると、床が腐食しやすくなるので注意しなければいけません。もしそのままこぼした水を放置してしまうと、床がボコボコになったり、シミが残ったりするのですぐに対処しましょう。
傷や汚れへの耐久性
フローリングは木材なので、張替え時のピカピカの状態が永久に続くものではありません。傷や汚れが少しずつ目立ってくるのです。次はそのような、フローリングの耐久性について見ていきましょう。どのくらいの寿命があるのか、傷や汚れの原因は何なのか、どうすれば予防することができるのかなど、原因だけでなく対策方法についてもご紹介します。
フローリングの寿命
フローリングの寿命は、約10年~15年といわれています。しかし床材の剥がれや腐食が見える場合は、その時点で張り替えなくてはいけません。例えば複合フローリングの場合、表面化粧木材は数ミリ程度の厚さしかないため、劣化とともに浮き上がってしまうこともあるのです。そのため劣化の原因をしっかりと把握し、対策を行う必要があります。劣化の原因を確認することで、寿命が縮んでしまうのを防ぐことができます。せっかく張り替えたフローリングが短期間で張り替えるということがないように、しっかりと傷み対策を行いましょう。
フローリングが傷む原因
新しく張り替えたフローリングには、薄い塗膜が塗られています。そのため多少傷つきにくくなっているのですが、家具を引きずったりすると、その塗膜が剥がれ表面に傷ができてしまいます。また、お子さんがおもちゃで遊んだり、ペットが走り回ったりすることで、深い傷ができてしまうこともあるのです。それから紫外線も、フローリングが傷む原因です。特に窓際は注意が必要で、紫外線に当たると日焼けしてしまいます。その部分だけ白く色が浮いてしまうので、見栄えが悪くなるのです。
傷みへの対策法
フローリングが傷む原因は、事前に対策をしておくことができます。椅子やテーブルなど、頻繁に動かす可能性のある家具には、あらかじめ脚部分にクッション材を取り付けておきましょう。普段から引きずらないように意識することも大切です。
また、お子さんやペットが原因でできてしまう傷は、ラグマットを敷いて防ぐことができます。このように事前にクッション性のあるものを使用しておけば、うっかり傷つけてしまうこともなくなります。
コーティングでフローリングを強化
フローリングの傷みへの対策法は、他にもあります。特にオススメなのが、フロアコーティングの利用です。利用することでどんな利点があるのか、詳しくお教えします。
床材の寿命を伸ばすことができる
フローリングは傷つきやすいため、すぐにボロボロになってしまう可能性があります。しかしコーティングを行えば、その可能性を小さくすることができるのです。フロアコーティングとは、フローリングに被せる厚くて透明の膜のようなものです。施工は、専門の業者に依頼することができます。このコーティングを行なうことで、床自体を強化し、耐久性をアップさせることができるのです。コーティング剤にも寿命がありますが、長くて20年以上もピカピカの状態を保つことができる種類のものもあります。
フロアコーティングは魅力がいっぱい
フロアコーティングは、フローリングについてしまう傷を防ぐことができます。家具の移動でも傷がつくことはありませんし、例え硬いものを落としてしまっても、床がへこんでしまうこともありません。水拭きも可能なので、手入れも楽で汚れをしっかりと拭き取ることができるのです。また、防音性を高めたり冬場のひんやりとした冷たさを軽減したりすることもできます。
【コーティングを施す際の注意点】
フローリングに張り替えて数年経っている場合、上からコーティングを施しても、下の床材が先にダメになってしまう可能性があります。そのため張り替えと同時に、コーティングは行なうのがおすすめです。
先を見据えたフローリング張り替えが大切
フローリングの床材には単層や複合などさまざまあり、自宅のイメージに合わせて張り替えることができます。工事は2~3日で終わるため、休日中に依頼することもできるでしょう。また、複合フローリングのように安価な床材を使用すれば、15万円ほどで畳の張り替えを完了させることができます。フローリングは畳と比較すると、暖かみがあったり掃除がしやすかったりといったさまざまなメリットがありますが、劣化には気をつけなくてはいけません。
フローリングの対策をしないと10年の寿命が5年に縮んでしまうというようなこともあるので、張替え後は丁寧に扱いましょう。そしてさらにフロアコーティングを施せば、寿命をもっと伸ばすこともできます。手入れも楽になるので、フローリングの張り替え時に一緒に利用してみてはいかがでしょうか。